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エステル書
🔝
〘901㌻〙
第1章
1
アハシユエロスすなはち
印度
いんど
よりエテオピヤまで
百
ひやく
二十七
州
しう
を
治
をさ
めたるアハシユエロスの
世
よ
2
アハシユエロス
王
わう
シユシヤンの
城
しろ
にてその
國
くに
の
祚
くらゐ
に
坐
ざ
しをりける
當時
ころ
3
その
治世
ぢせい
の
第
だい
三
年
ねん
にその
牧伯等
つかさたち
および
臣僕
しもべ
等
ら
のために
酒宴
しゆえん
を
設
まう
けたり ペルシヤとメデアの
武士
もののふ
および
貴
たふとき
族
やから
と
諸
しよ
州
しう
の
牧伯等
つかさたち
その
前󠄃
まへ
にありき
4
時
とき
に
王
わう
その
盛
さかん
なる
國
くに
の
富有
とみ
とその
大
おほい
なる
威光
ゐくわう
の
榮
さかえ
を
示
しめ
して
衆多
おほく
の
日
ひ
をわたり
百
ひやく
八十
日
にち
に
及
およ
びぬ
5
これらの
日
ひ
のをはりし
時
とき
王
わう
また
王
わう
の
宮
みや
の
園
その
の
庭
には
にてシユシヤンに
居
を
る
大
だい
小
せう
のすべての
民
たみ
のために
七日
なぬか
の
間
あひだ
酒宴
しゆえん
を
設
まう
けたり
6
白
しろ
緑
みどり
靑
あを
の
帳幔
とばり
ありて
細布
ほそぬの
と
紫色
むらさき
の
紐
ひも
にて
銀
ぎん
の
環
わ
および
蝋石
らふせき
の
柱
はしら
に
繋
つな
がるまた
牀榻
いす
は
金
きん
銀
ぎん
にして
赤
あか
白
しろ
黄
き
黑
くろ
の
蝋石
らふせき
の
上
うへ
に
居
すゑ
らる
7
金
きん
の
酒盃
さかづき
にて
酒
さけ
を
賜
たま
ふその
酒盃
さかづき
は
此
これ
と
彼
かれ
おのおの
異
こと
なり
王
わう
の
用
もち
ゐる
酒
さけ
をたまふこと
夥
おびた
だし
王
わう
の
富有
とみ
に
適󠄄
かな
へり
8
その
飮
の
むことは
法
はふ
にかなひて
誰
たれ
も
强
しふ
ることを
爲
せ
ず
其
そ
は
王
わう
人
びと
として
各々
おの〳〵
おのれの
好
この
むごとく
爲
なさ
しむべしとその
宮內
くない
のすべての
有司
つかさ
に
命
めい
じたればなり
9
后
きさき
ワシテもまたアハシユエロス
王
わう
に
屬
ぞく
する
王
わう
宮
きう
の
內
うち
にて
婦󠄃女
をんな
のために
酒宴
しゆえん
をまうけたり
10
第七日
なぬかめ
にアハシユエロス
王
わう
酒
さけ
のために
心
こゝろ
樂
たのし
み
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
事
つか
ふる七
人
にん
の
侍從
じじう
メホマン、ビスタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、セタルおよびカルカスに
命
めい
じ
11
后
きさき
ワシテをして
后
きさき
の
冠冕
かんむり
をかぶりて
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
來
きた
らしめよと
言
いへ
り
是
こ
は
彼
かれ
觀
みる
に
美
うるは
しければその
美麗
うるはしき
を
民等
たみども
と
牧伯等
つかさたち
に
見
しめ
さんとてなりき
12
しかるに
后
きさき
ワシテ
侍從
じじう
が
傳
つた
へし
王
わう
の
命
めい
に
從
したが
ひて
來
きた
ることを
肯
うけが
はざりしかば
王
わう
おほいに
憤
いきど
ほりて
震怒
いかり
その
衷
うち
に
燃
も
ゆ
13
是
こゝ
において
王
わう
時
とき
を
知
しれ
る
智者
ちしや
にむかひて
言
い
ふ(
王
わう
はすべて
法律
おきて
と
審理
さばき
に
明
あきら
かなる
者
もの
にむかひて
是
かく
の
如
ごと
くするを
常
つね
とせり
901㌻
14
時
とき
に
彼
かれ
の
次
つぎ
にをりし
者
もの
はペルシヤおよびメデアの七
人
にん
の
牧伯
きみ
カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンなりき
是
これ
みな
王
わう
の
面
かほ
を
見
み
る
者
もの
にして
國
くに
の
第一
だいいち
に
位
くらゐ
せり)
15
后
きさき
ワシテ、アハシユエロス
王
わう
が
侍從
じじう
をもて
傳
つた
へし
命
めい
を
爲
なさ
ざれば
法律
おきて
にしたがひて
如何
いか
に
彼
かれ
になすべきや
16
メムカン
王
わう
と
牧伯
つかさ
たちの
前󠄃
まへ
に
答
こた
へて
曰
い
ふ
后
きさき
ワシテは
唯
たゞ
王
わう
にむかひて
惡
あし
き
事
こと
をなしたる
而已
のみ
ならず
一切
すべて
の
牧伯
つかさ
たちおよびアハシユエロス
王
わう
の
各
かく
州
しう
のもろもろの
民
たみ
にむかひてもまた
之
これ
を
爲
なせ
るなり
〘696㌻〙
17
后
きさき
のこの
事
こと
あまねく
一切
すべて
の
婦󠄃女
をんな
に
聞
きこ
えて
彼
かれ
らつひにその
夫
をつと
を
藐
いやし
め
觀
み
て
言
いは
ん アハシユエロス
王
わう
后
きさき
ワシテに
己
おのれ
のまへに
來
きた
れと
命
めい
じたりしに
來
きた
らざりしと
18
而
しか
して
后
きさき
の
此
この
所󠄃行
しわざ
を
聞
きけ
るペルシヤとメデアの
諸
しよ
夫人
ふじん
もまた
今日
こんにち
王
わう
のすべての
牧伯等
つかさたち
に
是
かく
のごとく
言
いは
ん
然
さ
すれば
必
かな
らず
藐視
いやしめ
と
忿怒
いかり
多
おほ
く
起󠄃
おこ
るべし
19
王
わう
もし
之
これ
を
善
よし
としたまはばワシテは
此
この
後
のち
ふたゝびアハシユエロス
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
來
きた
るべからずといふ
王
わう
命
めい
を
下
くだ
し
之
これ
をペルシヤとメデアの
律法
おきて
の
中
うち
に
書
かき
いれて
更
かは
ること
無
なか
らしめ
而
しか
してその
后
きさき
の
位
くらゐ
を
彼
かれ
に
勝󠄃
まさ
れる
他
ほか
の
者
もの
に
與
あた
へたまへ
20
王
わう
の
下
くだ
したまはん
御詔
みことのり
この
大
おほい
なる
御
み
國
くに
に
徧
あま
ねく
聞
きこ
えわたる
時
とき
は
妻
つま
たる
者
もの
ことごとくその
夫
をつと
を
大小
だいせう
となく
共
とも
に
敬
うや
まふべしと
21
王
わう
と
牧伯等
つかさたち
この
言
ことば
を
善
よし
としければ
王
わう
メムカンの
言
ことば
のごとく
爲
なし
たり
22
かくて
王
わう
の
諸
しよ
州
しう
に
徧
あま
ねく
書
ふみ
をおくりもろもろの
州
しう
にその
文字
もじ
にしたがひて
書
かき
おくりもろもろの
民
たみ
にその
言語
ことば
にしたがひて
書
かき
おくり
凡
すべ
て
男子
をとこ
たる
者
もの
はその
家
いへ
の
主
しゆ
となるべくまたおのれの
民
たみ
の
言
ことば
を
用
もち
ひてものいふべしと
諭
さと
しぬ
第2章
1
これらの
事
こと
の
後
のち
アハシユエロス
王
わう
忿怒
いかり
とけてワシテおよび
彼
かれ
が
爲
なし
たる
所󠄃
ところ
またその
彼
かれ
にむかひて
議
はかり
定
さだ
めしところの
事
こと
を
憶
おも
ひおこせり
2
ここに
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
事
つか
ふる
僕
しもべ
等
ら
いひけるは
請󠄃
こ
ふ
美
うるは
しき
少
わか
き
處女等
をとめら
を
王
わう
のために
尋󠄃
たづね
もとめん
3
願
ねが
はくは
王
わう
御
み
國
くに
の
各
かく
州
しう
において
官吏
つかさびと
を
擇
えら
び
之
これ
をして
美
うる
はしき
處女
をとめ
をことごとくシユシヤンの
城
しろ
に
集
あつ
めしめ
婦󠄃人
をんな
を
管理
つかさど
る
王
わう
の
侍從
じじう
ヘガイの
手
て
にわたして
婦󠄃人
をんな
の
局
つぼね
に
入
い
らしめ
而
しか
して
潔󠄄淨
きよめ
の
物
もの
をこれに
與
あた
へたまへ
902㌻
4
斯
かく
して
王
わう
の
御
み
意󠄃
こころ
に
適󠄄
かな
ふ
女子
をんなご
を
取
と
りワシテに
代
かは
りて
后
きさき
とならしめたまへと
王
わう
この
事
こと
を
善
よし
として
然
しか
なしぬ
5
茲
こゝ
にシユシヤンの
城
しろ
に
一人
ひとり
のユダヤ
人
びと
ありその
名
な
をモルデカイと
曰
い
ひキシの
曾孫
ひこ
シメイの
孫
まご
ヤイルの
子
こ
にしてベニヤミン
人
びと
なり
6
かれはバビロンの
王
わう
ネブカデネザルが
擄
とら
へゆきしユダのヱコニヤとともに
擄
とら
はれ
徃
ゆけ
る
俘囚
とりこ
の
中
なか
にありてヱサレムより
移
うつ
されたる
者
もの
なり
7
かれその
叔父󠄃
をぢ
の
女
むすめ
ハダツサすなはちエステルを
養󠄄
やしな
ひ
育
そだ
てたり
是
こ
は
父󠄃
ちゝ
も
母
はゝ
もなかりければなり この
女子
をんなご
顏
かほ
貌
かたち
勝󠄃
すぐ
れてうるはしかりしがその
父󠄃母
ちちはは
の
死
しに
たる
後
のち
モルデカイこれを
取
とり
ておのれの
女
むすめ
となせるなり
8
王
わう
の
命令
おふせ
と
詔言
みことのり
の
聞
きこ
え
傳
つた
はり
衆多
おほく
の
女子
をんなご
シユシヤンの
城
しろ
にあつめられてヘガイの
手
て
にわたされし
時
とき
エステルも
亦
また
王
わう
の
家
いへ
に
携
たづさ
へられてゆき
婦󠄃人
をんな
を
管理
つかさど
るヘガイの
手
て
に
交
わた
されしが
〘697㌻〙
9
この
女子
をんなご
ヘガイの
意󠄃
こころ
にかなひて
之
これ
が
惠
めぐみ
を
受
うけ
たり
即
すなは
はちヘガイすみやかに
之
これ
に
潔󠄄淨
きよめ
の
物
もの
およびその
分󠄃
ぶん
を
與
あた
へまた
王
わう
の
家
いへ
の
中
うち
より
七人
ひと
の
侍女
こしもと
を
擧
あげ
てこれに
附
つき
そはしめ
彼
かれ
とその
侍女
こしもと
等
ども
を
婦󠄃人
をんな
の
局
つぼね
の
中
うち
なる
最
もつと
も
佳
よ
き
處
ところ
に
移
うつ
しぬ
10
エステルはおのれの
民
たみ
をもおのれの
宗族
やから
をも
顯
あら
はさざりき
其
そ
はモルデカイこれを
顯
あら
はすなかれと
彼
かれ
に
言
いひ
ふくめたればなり
11
またモルデカイはエステルの
模樣
ありさま
およびその
如何
いか
になれるかを
知
しら
んため
日々
ひび
に
婦󠄃人
をんな
の
局
つぼね
の
庭
には
の
前󠄃
まへ
をあゆめり
12
女子
をんなご
はおのおの
婦󠄃人
をんな
の
則
のり
にしたがひて十二ヶ
月
げつ
を
經
へ
しかる
後
のち
順番
じゆんばん
にいりてアハシユエロス
王
わう
にいたる
是
これ
その
潔󠄄淨
きよめ
の
日
ひ
を
終󠄃
をは
るはかくのごとくなるが
故
ゆゑ
なり
即
すなは
ち
沒藥
もつやく
の
油
あぶら
を
用
もち
ふること六ヶ
月
げつ
また
各種
さまざま
の
薫物
かほりもの
および
婦󠄃人
をんな
の
潔󠄄淨
きよめ
ごとにあつる
物
もの
等
など
を
用
もち
ふること六ヶ
月
げつ
13
女子
をんなご
の
王
わう
にいたるは
是
かく
のごとしその
婦󠄃人
をんな
の
局
つぼね
より
出
いで
て
王
わう
の
家
いへ
にゆく
時
とき
には
凡
すべ
てその
望󠄇
のぞ
む
物
もの
をことごとく
與
あた
へらる
903㌻
14
而
しか
して
夕
ゆふべ
に
徃
ゆ
き
朝󠄃
あした
におよびて
婦󠄃人
をんな
の
第
だい
二の
局
つぼね
に
還󠄃
かへ
り
妃嬪
ひめ
をつかさどる
王
わう
の
侍從
じじう
シヤシガスの
手
て
に
屬
ぞく
す
王
わう
これを
喜
よろ
こびて
名
な
をさして
召
め
すにあらざれば
重
かさ
ねて
王
わう
にいたることなし
15
ここにモルデカイの
叔父󠄃
をぢ
アビハイルの
女
むすめ
すなはちモルデカイが
取
とり
ておのれの
女
むすめ
となしたるエステル
入
いり
て
王
わう
にいたるべき
順番
じゆんばん
にあたりけるが
彼
かれ
は
婦󠄃人
をんな
をつかさどる
王
わう
の
侍從
じじう
ヘガイが
言
いひ
きかせたる
事
こと
の
外
ほか
には
何
なに
をももとめざりき エステルは
凡
すべ
て
彼
かれ
を
見
み
る
者
もの
によろこばれたり
16
かくエステルは
王
わう
の
家
いへ
に
召
めし
いれられてアハシユエロス
王
わう
にいたれり
是
これ
その
治世
ぢせい
の
第
だい
七
年
ねん
十
月
ぐわつ
即
すなは
ちテベテの
月
つき
なり
17
王
わう
一切
すべて
の
婦󠄃人
をんな
に
超
こえ
てエステルを
愛
あい
しければエステルはすべての
處女
をとめ
にまさりて
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
恩寵
めぐみ
と
厚情󠄃
なさけ
を
得
え
たり
王
わう
つひに
后
きさき
の
冕
かんむり
をかれの
首
かうべ
に
戴
いただ
かせ
彼
かれ
をしてワシテにかはりて
后
きさき
とならしむ
18
ここにおいて
王
わう
おほいなる
酒宴
しゆえん
を
設
まう
けてそのもろもろの
牧伯
つかさ
と
臣僕
しもべ
を
饗
もてな
す これをエステルの
酒宴
しゆえん
と
稱
とな
ふまた
諸
しよ
州
しう
に
租税
そぜい
をゆるし
王
わう
の
富有
とみ
にかなひて
物
もの
を
賜
たま
ふ
19
再度
ふたゝび
處女
むすめ
の
集
あつ
められし
時
とき
モルデカイは
王
わう
の
門
もん
に
坐
ざ
しをりぬ
20
エステルはモルデカイがかれに
言
いひ
ふくめたる
如
ごと
くして
未
いま
だおのれの
宗族
やから
をもおのれの
民
たみ
をも
顯
あら
はさざりき エステルはモルデカイの
言語
ことば
にしたがふことその
彼
かれ
に
養󠄄
やし
なひ
育
そだ
てられし
時
とき
と
異
こと
ならざりき
21
當時
そのころ
モルデカイ
王
わう
の
門
もん
に
坐
ざ
し
居
ゐ
ける
時
とき
王
わう
の
侍從
じじう
にて
戶
と
を
守
まも
る
者
もの
の
中
うち
ビグタンおよびテレシの二
人
にん
怨
うら
むる
事
こと
ありてアハシユエロス
王
わう
を
弑
しい
せんともとめたりしが
〘698㌻〙
22
その
事
こと
モルデカイに
知
し
れければモルデカイこれを
后
きさき
エステルに
吿
つ
げエステルまたモルデカイの
名
な
をもてこれを
王
わう
に
吿
つ
げたり
23
ここにおいて
此事
このこと
をしらべさせしにその
然
しか
ること
顯
あら
はれければ
彼
かれ
ら
二人
ふたり
は
木
き
にかけられその
事
こと
は
王
わう
の
前󠄃
まへ
なる
日誌
につし
の
書
ふみ
にかきしるさる
904㌻
第3章
1
これらの
事
こと
の
後
のち
アハシユエロス
王
わう
アガグ
人
びと
ハンメダタの
子
こ
ハマンを
貴
たふと
びこれを
高
たか
くして
己
おのれ
とともにある
一切
すべて
の
牧伯
つかさ
の
上
うへ
にその
席
せき
を
定
さだ
めしむ
2
王
わう
の
門
もん
にある
主
しゆ
の
諸
しよ
臣
しん
みな
跪
ひざま
づきてハマンを
拜
はい
せり
是
これ
は
王
わう
斯
かく
かれになすことを
命
めい
じたればなり
然
しか
れどもモルデカイは
跪
ひざ
まづかず
又󠄂
また
これを
拜
はい
せざりき
3
ここをもて
王
わう
の
門
もん
にある
王
わう
の
諸臣
しよしん
モデカイにむかひて
言
い
ふ
汝
なんぢ
いかなれば
王
わう
の
命
めい
に
背
そむ
くやと
4
かれらモルデカイに
日々
ひび
かく
言
い
ふといへども
聽
きか
ざりければその
事
こと
の
爲
なし
をふさるべきか
否
いな
を
見
み
んとてハマンにこれを
吿
つげ
たり
其
そ
はモルデカイおのれのユダヤ
人
びと
なることを
語
かた
りたればなり
5
ハマン、モルデカイの
跪
ひざま
づかずまた
己
おのれ
を
拜
はい
せざるを
見
み
たれば ハマン
忿怒
いかり
にたへざりしが
6
ただモルデカイ
一人
ひとり
を
殺
ころ
すは
事
こと
小
ちひ
さしと
思
おも
へり
彼
かれ
らモルデカイの
屬
ぞく
する
民
たみ
をハマンに
顯
あら
はしければハマンはアハシユエロスの
國
くに
の
中
うち
にある
一切
すべて
のユダヤ
人
びと
すなはちモルデカイの
屬
ぞく
する
民
たみ
をことごとく
殺
ころ
さんと
謀
はか
れり
7
アハシユエロス
王
わう
の十二
年
ねん
正月
しやうぐわつ
即
すなは
ちニサンの
月
つき
にハマンの
前󠄃
まへ
にて十二
月
ぐわつ
すなはちアダルの
月
つき
まで
一日
ひとひ
一日
ひとひ
のため
一月
ひとつき
一月
ひとつき
のためにプルを
投
なげ
しむプルは
即
すなは
ち
籤
くじ
なり
8
ハマンかくてアハシユエロス
王
わう
に
言
いひ
けるは
御
み
國
くに
の
各
かく
州
しう
にある
諸民
しよみん
の
中
なか
に
散
ちら
されて
別
わか
れ
別
わか
れになりをる
一
ひとつ
の
民
たみ
ありその
律法
おきて
は
一切
すべて
の
民
たみ
と
異
ことな
り また
王
わう
の
法律
おきて
を
守
まも
らずこの
故
ゆゑ
にこれを
容
ゆる
しおくは
王
わう
の
益
えき
にあらず
9
王
わう
もしこれを
善
よし
としたまはば
願
ねがは
くは
彼
かれ
らを
滅
ほろ
ぼせと
書
かき
くだしたまへ さらば
我
われ
王
わう
の
事
こと
をつかさどる
者等
ものども
の
手
て
に
銀
ぎん
一
萬
まん
タラントを
秤
はか
り
交
わた
して
王
わう
の
府庫
くら
に
入
いれ
しめん
10
王
わう
すなはち
指環
ゆびわ
をその
手
て
より
取
とり
はづしアガグ
人
びと
ハンメダタの
子
こ
ハマンすなはちユダヤ
人
びと
の
敵
てき
たる
者
もの
に
交
わた
し
11
しかしてハマンに
言
いひ
けるはその
銀
ぎん
はなんぢに
與
あた
ふ その
民
たみ
もまた
汝
なんぢ
にあたふれば
汝
なんぢ
に
善
よし
と
見
み
ゆるごとく
爲
せ
よ
905㌻
12
こゝにおいて
正月
しやうぐわつ
の十三
日
にち
に
王
わう
の
書記
しよき
官
くわん
を
召
めし
あつめ
王
わう
に
屬
ぞく
する
州
しう
牧
ぼく
各
かく
州
しう
の
方伯
はうはく
およびもろもろの
民
たみ
の
牧伯
つかさ
にハマンが
命
めい
ぜんとする
所󠄃
ところ
をことごとく
書
かき
しるさしむ
即
すなは
ちもろもろの
州
しう
におくるものは
其
その
文字
もじ
をもちひ もろもろの
民
たみ
におくるものはその
言語
ことば
をもちひ おのおのアハシユエロス
王
わう
の
名
な
をもてこれを
〘699㌻〙
13
しかして
驛卒
はゆまづかひ
をもて
書
ふみ
を
王
わう
の
諸
しよ
州
しう
におくり十二
月
ぐわつ
すなはちアダルの
月
つき
の十三
日
にち
において一
日
にち
の
內
うち
に
一切
すべて
のユダヤ
人
びと
を
若
わか
き
者
もの
老
おい
たる
者
もの
小兒
こども
婦󠄃人
をんな
の
差別
けぢめ
なくことごとく
滅
ほろ
ぼし
殺
ころ
し
絕
たや
しかつその
所󠄃有物
もちもの
を
奪
うば
ふべしと
諭
さと
しぬ
14
この
詔旨
みことのり
を
諸
しよ
州
しう
に
傳
つた
へてかの
日
ひ
のために
準備
そなへ
をなさしめんとてその
書
かけ
る
物
もの
の
寫本
うつし
を
一切
すべて
の
民
たみ
に
開
ひら
きて
示
しめ
せり
15
驛卒
はゆまづかひ
王
わう
の
命
めい
によりて
急󠄃
いそ
ぎて
出
いで
ゆきぬ この
詔書
みことのり
はシユシヤンの
城
しろ
に
於
おい
て
出
いだ
されたり かくて
王
わう
とハマンは
坐
ざ
して
酒
さけ
飮
のみ
ゐたりしがシユシヤンの
邑
まち
は
惑
まど
ひわづらへり
第4章
1
モルデカイ
凡
すべ
てこの
爲
なさ
れたる
事
こと
を
知
しり
しかばモルデカイ
衣服󠄃
ころも
を
裂
さ
き
麻󠄃布
あさぬの
を
纒
まと
ひ
灰󠄃
はひ
をかぶり
邑
まち
の
中
なか
に
行
ゆき
て
大
おほい
に
哭
な
き
痛
いた
く
號
さけ
び
2
王
わう
の
門
もん
の
前󠄃
まへ
までも
斯
かく
して
來
きた
れり
其
そ
は
麻󠄃布
あさぬの
をまとふては
王
わう
の
門
もん
の
內
うち
に
入
い
ること
能
あた
はざればなり
3
すべて
王
わう
の
命
めい
とその
詔書
みことのり
と
到
いた
れる
諸
しよ
州
しう
にてはユダヤ
人
びと
の
中
うち
におほいなる
哀
かなし
みあり
斷食󠄃
だんじき
哭泣
なげき
號呼
さけび
おこれり また
麻󠄃布
あさぬの
をまとふて
灰󠄃
はひ
の
上
うへ
に
坐
ざ
する
者
もの
おほかりき
4
こゝにエステルの
侍女
こしもと
およびその
侍從
じじう
等
ら
きたりてこれを
吿
つげ
ければ
后
きさき
はなはだしく
憂
うれ
ひ
衣服󠄃
きもの
をおくり
之
これ
をモルデカイにきせてその
麻󠄃布
あさぬの
を
脱
ぬが
しめんとしたりしがうけざりき
5
こゝをもてエステルは
王
わう
の
侍從
じじう
の
一人
ひとり
すなはち
王
わう
の
命
めい
じて
己
おのれ
に
侍
はべ
らしむるハタクといふ
者
もの
を
召
め
しモルデカイの
許
もと
に
徃
ゆ
きてその
何事
なにごと
なるか
何故
なにゆゑ
なるかを
知
し
きたれと
命
めい
ぜり
6
ハタクいでて
王
わう
の
門
もん
の
前󠄃
まへ
なる
邑
まち
の
廣
ひろ
場
ば
にをるモルデカイにいたりしに
7
モルデカイおのれの
遇󠄃
あひ
たるところを
具󠄄
つぶさ
にこれに
語
かた
りかつハマンがユダヤ
人
びと
を
滅
ほろ
ぼす
事
こと
のために
王
わう
の
府庫
くら
に
秤
はか
りいれんと
約
やく
したる
銀
ぎん
の
額
たか
を
吿
つ
げ
906㌻
8
またその
彼等
かれら
をほろぼさしむるためにシユシヤンにおいて
書
かき
て
與
あた
へられし
詔書
みことのり
の
寫本
うつし
を
彼
かれ
にわたし
之
これ
をエステルに
見
み
せかつ
解
とき
あかし また
彼
かれ
に
王
わう
の
許
もと
にゆきてその
民
たみ
のためにこれに
矜恤
あはれみ
を
請󠄃
こ
ひその
前󠄃
まへ
に
願
ねが
ふことを
爲
す
べしと
言
いひ
つたへよと
言
いへ
り
9
ハタクかへり
來
きた
りてモルデカイの
言詞
ことば
をエステルに
吿
つげ
ければ
10
エステル、ハタクに
命
めい
じモルデカイに
言
ことば
をつたへしむ
云
いは
く
11
王
わう
の
諸
しよ
臣
しん
がよび
王
わう
の
諸
しよ
州
しう
の
民
たみ
みな
知
し
る
男
をとこ
にもあれ
女
をんな
にもあれ
凡
すべ
て
召
めさ
れずして
內
うち
庭
には
に
入
いり
て
王
わう
にいたる
者
もの
は
必
かなら
ず
殺
ころ
さるべき
一
ひとつ
の
法律
おきて
あり されど
王
わう
これに
金圭
きんけい
を
伸
のぶ
れば
生
いく
るを
得
う
べし かくて
我
われ
此
この
三十
日
にち
は
王
わう
にいたるべき
召
めし
をかうむらざるなり
〘700㌻〙
12
エステルの
言
ことば
をモルデカイに
吿
つ
げけるに
13
モルデカイ
命
めい
じてエステルに
答
こた
へしめて
曰
いは
く
汝
なんぢ
王
わう
の
家
いへ
にあれば
一切
すべて
のユダヤ
人
びと
の
如
ごと
くならずして
免
まぬ
かるべしと
心
こゝろ
に
思
おも
ふなかれ
14
なんぢ
若
もし
この
時
とき
にあたりて
默
もく
して
言
いは
ずば
他
ほか
の
處
ところ
よりして
助援
たすけ
と
拯救
すくひ
ユダヤ
人
びと
に
興
おこ
らんされど
汝
なんぢ
どなんぢの
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
は
亡
ほろ
ぶべし
汝
なんぢ
が
后
きさき
の
位
くらゐ
を
得
え
たるは
此
かく
のごとき
時
とき
のためなりしやも
知
し
るべからず
15
エステルまたモルデカイに
答
こた
へしめて
曰
いは
く
16
なんぢ
徃
ゆ
きシユシヤンにをるユダヤ
人
びと
をことごとく
集
あつ
めてわがために
斷食󠄃
だんじき
せよ
三日
みつか
の
間
あひだ
夜
よる
晝
ひる
とも
食󠄃
くら
ふことも
飮
の
むこともするなかれ
我
われ
とわが
侍女
こしもと
等
ら
もおなじく
斷食󠄃
だんじき
せん しかして
我
われ
法律
おきて
にそむく
事
こと
なれども
王
わう
にいたらん
我
われ
もし
死
しぬ
べくば
死
しぬ
べし
17
ここにおいてモルデカイ
徃
ゆき
てエステルが
凡
すべ
ておのれに
命
めい
じたるごとく
行
おこ
なへり
第5章
1
第三日
みつかめ
にエステル
后
きさき
の
服󠄃
ころも
を
着
き
王
わう
の
家
いへ
の
內
うち
庭
には
にいり
王
わう
の
家
いへ
にむかひて
立
た
つ
王
わう
は
王
わう
宮
きう
の
玉
ぎよく
座
ざ
に
坐
ざ
して
王
わう
宮
きう
の
戶口
とぐち
にむかひをりしが
907㌻
2
王
わう
后
きさき
エステルが
庭
には
にたちをるを
見
み
てこれに
恩
めぐみ
をくはへ
其
その
手
て
にある
金圭
きんけい
をエステルの
方
かた
に
伸
のば
しければエステルすすみよりてその
圭
けい
の
頭
かしら
にさはれり
3
王
わう
かれに
言
いひ
けるは
后
きさき
エステルなんぢ
何
なに
をもとむるやなんぢの
願意󠄃
ねがひ
は
何
なに
なるや
國
くに
の
半󠄃分󠄃
なかば
にいたるとも
汝
なんぢ
にあたふべし
4
エステルいひけるは
王
わう
もし
善
よし
としたまはば
願
ねがは
くは
今日
こんにち
わが
王
わう
のために
設
まう
けたる
酒宴
しゆえん
に
王
わう
とハマンと
臨
のぞ
みたまへ
5
ここに
於
おい
て
王
わう
ハマンを
急󠄃
いそ
がしめてエステルの
言
いへ
るごとくならしめよと
命
めい
じ
王
わう
とハマンやがてエステルが
設
まう
けたる
酒宴
しゆえん
に
臨
のぞ
めり
6
酒宴
しゆえん
の
時
とき
王
わう
またエステルに
言
いひ
けるは
汝
なんぢ
の
所󠄃求
もとめ
は
何
なに
なるやかならずゆるさるべし なんぢの
願意󠄃
ねがひ
は
何
なに
なるや
國
くに
の
半󠄃分󠄃
なかば
にいたるとも
成就
なしとげ
らるべし
7
エステル
言
いひ
けるは
我
わ
が
所󠄃求
もとめ
わが
願意󠄃
ねがひ
は
是
これ
なり
8
われもし
王
わう
の
目
め
の
前󠄃
まへ
に
恩
めぐみ
を
得
え
王
わう
もしわが
所󠄃求
もとめ
をゆるしわが
願意󠄃
ねがひ
を
成就
なしとげ
しむることを
善
よし
としたまはば
願
ねがは
くは
王
わう
とハマンまたわが
設
まう
けんとする
酒宴
しゆえん
に
臨
のぞ
みたまへ われ
明日
あす
王
わう
の
宣
のた
まへる
言
ことば
にしたがはん
9
かくてハマンはその
日
ひ
よろこび
心
こゝろ
たのしみて
出
いで
きたりけるがハマン、モルデカイが
王
わう
の
門
もん
に
居
をり
て
己
おのれ
にむかひて
起󠄃
たち
もあがらず
身動
みうごき
もせざるを
見
み
しかば
痛
いた
くモルデカイを
怒
いか
れり
〘701㌻〙
10
されどもハマン
耐
たへ
忍󠄄
しの
びて
家
いへ
にかへりその
朋友
とも
等
ら
および
妻
つま
ゼレシをまねき
來
きた
らしめ
11
而
しか
してハマンその
富
とみ
の
榮耀
かがやき
とその
子
こ
の
衆多
おほき
ことと
凡
すべ
て
王
わう
の
己
おのれ
を
貴
たふ
とびし
事
こと
また
己
おのれ
をたかくして
王
わう
の
牧伯
つかさ
および
臣僕
しもべ
の
上
うへ
にあらしむることを
之
これ
に
語
かた
れり
12
しかしてハマンまた
言
いひ
けらく
后
きさき
エステル
酒宴
しゆえん
を
設
まう
けたりしが
我
われ
のほかは
何人
なにびと
をも
王
わう
とともに
之
これ
に
臨
のぞ
ましめず
明日
あす
もまた
我
われ
は
王
わう
とともに
后
きさき
に
招
まね
かれをるなり
13
然
さ
れどユダヤ
人
びと
モルデカイが
王
わう
の
門
もん
に
坐
ざ
しをるを
見
み
る
間
あひだ
は
是
これ
らの
事
こと
も
快樂
たのし
からず
14
時
とき
にその
妻
つま
ゼレシとその
一切
すべて
の
朋友
とも
かれに
言
いひ
けるは
請󠄃
こ
ふ
高
たかさ
五十キユビトの
木
き
を
立
たて
しめ
明日
あす
の
朝󠄃
あさ
モルデカイをその
上
うへ
に
懸
かけ
んことを
王
わう
に
奏
まう
せ
而
しか
して
王
わう
とともに
樂
たの
しみてその
酒宴
しゆえん
におもむけとハマンこの
事
こと
を
善
よし
としてその
木
き
を
立
たて
しめたり
908㌻
第6章
1
その
夜
よる
王
わう
ねむること
能
あた
はざりければ
命
めい
じて
日々
ひび
の
事
こと
を
記
しる
せる
記錄
きろく
の
書
ふみ
を
持
もち
きたらしめ
王
わう
の
前󠄃
まへ
にこれを
讀
よま
しめけるに
2
モルデカイ
曾
かつ
て
王
わう
の
侍從
じじう
の
二人
ふたり
戶
と
を
守
まも
る
者
もの
なるビグタンとテレシがアハシユエロス
王
わう
を
殺
ころ
さんと
謀
はか
れるを
吿
つげ
たりと
記
しる
せるに
遇󠄃
あ
ふ
3
王
わう
すなはち
言
いひ
けるは
之
これ
がために
何
なに
の
榮譽
ほまれ
と
爵位
くらゐ
をモルデカイにあたへしや
王
わう
に
事
つか
ふる
臣僕
しもべ
等
ら
こたへて
何
なに
をも
彼
かれ
にあたへしこと
無
な
しといへり
4
ここにおいて
王
わう
誰
たれ
ぞ
庭
には
にあるやと
問
と
ふ この
時
とき
ハマンは
己
おの
がモルデカイのために
設
まう
けたる
木
き
にモルデカイを
懸
かけ
ることを
王
わう
に
奏
そう
せんとして
已
すで
に
王
わう
の
家
いへ
の
外
そと
庭
には
に
來
きた
りて
居
を
る
5
王
わう
の
臣僕
しもべ
等
ら
王
わう
につげてハマン
庭
には
に
立
たち
をると
言
いひ
ければ
王
わう
かれをして
入
いり
來
きた
らしめよと
言
い
ふ
6
ハマンやがて
入
いり
きたりしに
王
わう
かれにいひけるは
王
わう
の
尊󠄅
たふ
とばんと
欲
ほつ
する
人
ひと
には
如何
いか
になさば
善
よか
らんかとハマン
心
こゝろ
におもひけるは
王
わう
の
尊󠄅
たふと
ばんとずる
者
もの
は
我
われ
にあらずして
誰
たれ
ぞやと
7
ハマンすなはち
王
わう
にいひけるは
王
わう
の
尊󠄅
たふと
ばんと
欲
ほつ
する
人
ひと
のためには
8
王
わう
の
着
き
たまへる
衣服󠄃
ころも
を
携
たづ
さへ
來
きた
らしめかつ
王
わう
の
乘
のり
たまへる
馬
むま
即
すなは
ちその
頭
かしら
に
王
わう
の
冠冕
かんむり
を
戴
いただ
ける
馬
むま
をひき
來
きた
らしめ
9
これを
王
わう
の
最
もつと
も
貴
たふ
とき
一人
ひとり
の
牧伯
つかさ
の
手
て
にわたし
王
わう
の
尊󠄅
たふと
ばんとする
人
ひと
に
其
その
衣服󠄃
ころも
を
衣
き
せしめこれを
馬
むま
にのせて
邑
まち
の
街衢
ちまた
をみちびき
通󠄃
とほ
り
王
わう
の
尊󠄅
たふ
とばんと
欲
ほつ
する
人
ひと
には
是
かく
のごとくなすべしと
呼
よば
はらしむべし
10
王
わう
ハマンに
言
いひ
けるは
急󠄃
いそ
ぎなんぢが
言
いひ
しごとくその
衣服󠄃
ころも
と
馬
むま
とを
取
と
り
王
わう
の
門
もん
に
坐
ざ
するユダヤ
人
びと
モルデカイに
斯
かく
なせよ なんぢが
言
いひ
しところを
一
ひとつ
も
缺
かく
こと
無
なか
らしめよ
〘702㌻〙
11
ここにおいてハマン
衣服󠄃
ころも
と
馬
むま
とを
取
と
りモルデカイにその
衣服󠄃
ころも
を
着
き
せ
彼
かれ
をして
邑
まち
の
街衢
ちまた
を
乘
のり
とほらしめその
前󠄃
まへ
に
呼
よば
はりて
云
い
ふ
王
わう
の
尊󠄅
たふと
ばんと
欲
ほつ
する
人
ひと
には
是
かく
のごとくなすべしと
909㌻
12
かくてモルデカイは
王
わう
の
門
もん
にかへりたりしがハマンは
愁
うれ
へなやみ
首
かうべ
をおほふておのれの
家
いへ
にはしりゆき
13
しかしてハマンおのが
遇󠄃
あへ
る
事
こと
をことごとくその
妻
つま
ゼレシとその
朋友
とも
等
ら
に
吿
つ
げるにその
智者
ちしや
等
たち
およびその
妻
つま
ゼレシかれに
言
いひ
けるは
彼
か
のモルデカイすなはちなんぢがその
前󠄃
まへ
に
敗
やぶ
れはじめたる
者
もの
もしユダヤ
人
びと
ならば
汝
なんぢ
これに
勝󠄃
かつ
ことを
得
え
じ
必
かな
らずその
前󠄃
まへ
にやぶれんと
14
かれら
尙
なほ
ハマンとものいひをる
間
うち
に
王
わう
の
侍從
じじう
きたりてハマンをうながしエステルが
設
まう
けたる
酒宴
しゆえん
にのぞましむ
第7章
1
王
わう
またハマンとともに
后
きさき
エステルと
酒宴
しゆえん
せんとて
來
きた
れり
2
この
第
だい
二の
酒宴
しゆえん
の
日
ひ
に
王
わう
またエステルに
言
いひ
けるは
后
きさき
エステルよなんぢのもとめは
何
なに
なるや かならず
許
ゆる
さるべし
汝
なんぢ
のねがひは
何
なに
なるや
國
くに
の
半󠄃分󠄃
なかば
にいたるとも
成就
なしとげ
らるべし
3
后
きさき
エステルこたへて
言
いひ
けるは
王
わう
よ
我
われ
もし
王
わう
の
御
おん
目
め
の
前󠄃
まへ
に
恩
めぐみ
を
得
え
王
わう
もし
善
よし
と
見
み
たまはばわがもとめにしたがりこわが
生命
いのち
をわれに
賜
たま
へ またわが
願
ねがひ
にしたがひてわが
民
たみ
を
我
われ
に
賜
たま
へ
4
我
われ
とわが
民
たみ
は
賣
うら
れて
滅
ほろ
ぼされ
殺
ころ
され
絕
たや
されんとす
我
われ
らもし
奴婢
ぬひ
に
賣
うら
れたるならんには
我
われ
默
もく
してはべらん
敵人
あたびと
は
王
わう
の
損害󠄅
そんがい
を
償
つぐ
なふ
事
こと
能
あた
はざるなり
5
アハシユエロス
王
わう
后
きさき
エステルにこたへて
言
いひ
けるは
之
これ
をなさんと
心
こゝろ
にたくめる
者
もの
は
誰
たれ
また
何處
いづく
にをるや
6
エステルいひけるはその
敵
てき
その
仇人
あたびと
は
即
すなは
ちこの
惡
あし
きハマンなりと
是
これ
によりてハマンは
王
わう
と
后
きさき
の
前󠄃
まへ
にありて
懼
おそ
れたり
7
王
わう
怒
いか
り
酒宴
しゆえん
の
席
せき
をたちて
宮殿
みや
の
園
その
に
徃
ゆ
きければハマンたちあがりて
后
きさき
エステルに
生命
いのち
を
乞
こへ
り
其
そ
はかれ
王
わう
のおのれに
禍災
わざはひ
をなさんと
決
きは
めしを
見
み
たればなり
8
王
わう
宮殿
みや
の
園
その
より
歸
かへ
りて
酒宴
しゆえん
の
場
ば
にいたりしにエステルのをる
牀榻
とこ
の
上
うへ
にハマン
俯伏
ひれふし
ゐたれば
王
わう
いひけるは
彼
かれ
はまた
家
いへ
の
內
うち
にてわが
前󠄃
まへ
に
后
きさき
を
辱
はづか
しめんとするかと
此
この
ことば
王
わう
の
口
くち
より
出
いづ
るや
人々
ひと〴〵
ハマンの
面
かほ
をおほへり
9
時
とき
に
王
わう
の
前󠄃
まへ
にある
一人
ひとり
の
侍從
じじう
ハルボナいひけるは
王
わう
の
爲
ため
に
善
よ
き
事
こと
を
言
いひ
たりしかのモルデカイを
懸
かけ
んとてハマンが
作
つく
りたる五十キユビトの
木
き
ハマンの
家
いへ
に
立
たち
をるなりと
王
わう
いひけるは
彼
かれ
をその
上
うへ
に
懸
かけ
よ
910㌻
10
人々
ひと〴〵
ハマンを
其
その
モルデカイをかけんとて
設
まう
けし
木
き
の
上
うへ
に
懸
かけ
たり
王
わう
の
震怒
いかり
つひに
解
と
く
〘703㌻〙
第8章
1
その
日
ひ
アハシユエロス
王
わう
ユダヤ
人
びと
の
敵
てき
ハマンの
家
いへ
を
后
きさき
エステルに
賜
たま
ふ モダカイもまた
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
來
きた
れり
是
こ
はエステル
彼
かれ
が
己
おのれ
と
何
いか
なる
係
かかは
りなるかを
吿
つげ
たればなり
2
王
わう
ハマンより
取
とり
かへせし
己
おのれ
の
指
ゆび
環
わ
をはづしてモルデカイに
與
あた
ふ
而
しか
してエステル、モルデカイをしてハマンの
家
いへ
をつかさどらしむ
3
エステルふたゝび
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
奏
そう
してその
足下
あしもと
にひれふしアガグ
人
びと
ハマンがユダヤ
人
びと
を
害󠄅
がい
せんと
謀
はか
りしその
謀計
はかりごと
を
除
のぞ
かんことを
淚
なみだ
ながらに
乞
こひ
求
もと
めたり
4
王
わう
エステルにむかひて
金圭
きんけい
を
伸
のべ
ければエステル
起󠄃
おき
て
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
立
た
ち
5
言
いひ
けるは
王
わう
もし
之
これ
を
善
よし
としたまひ
我
われ
もし
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
恩
めぐみ
を
得
え
この
事
こと
もし
王
わう
に
正
たゞし
と
見
み
え
我
われ
もし
御
おん
目
め
にかなひたらば アガグ
人
びと
ハンメダタの
子
こ
ハマンが
王
わう
の
諸州
しよしう
にあるユダヤ
人
びと
をほろぼさんと
謀
はか
りて
書
かき
おくりたる
書
ふみ
をとりけすべき
旨
むね
を
書
かき
くだしたまへ
6
われ
豈
あに
わが
民
たみ
に
臨
のぞ
まんとする
禍害󠄅
わざはひ
を
見
み
るに
忍󠄄
しの
びんや
豈
あに
わが
宗族
やから
のほろぶるを
見
み
るにしのびんや
7
アハシユエロス
王
わう
后
きさき
エステルとユダヤ
人
びと
モルデカイにいひけるはハマン、ユダヤ
人
びと
を
殺
ころ
さんとしたれば
我
われ
すでにハマンの
家
いへ
をエステルに
與
あた
へまたハマンを
木
き
にかけたり
8
なんぢらも
亦
また
おのれの
好
この
むごとく
王
わう
の
名
な
をもて
書
ふみ
をつくり
王
わう
の
指
ゆび
環
わ
をもてこれに
印
いん
してユダヤ
人
びと
につたへよ
王
わう
の
名
な
をもて
書
か
き
王
わう
の
指
ゆび
環
わ
をもて
印
いん
したる
書
ふみ
は
誰
たれ
もとりけすこと
能
あた
はざればなり
9
ここをもてその
時
とき
また
王
わう
の
書記
しよき
官
くわん
を
召
めし
あつむ
是
これ
三
月
ぐわつ
すなはちシワンの
月
つき
の二十三
日
にち
なりきしかして
印度
いんど
よりエテオピアまでの
百
ひやく
二十七
州
しう
のユダヤ
人
びと
州
しう
牧
ぼく
諸州
しよしう
の
方伯
はうはく
牧伯等
つかさたち
にモルデカイが
命
めい
ぜんとするところを
盡
こと〴〵
く
書
かき
しるさしむ
即
すなは
ちもろもろの
州
しう
におくるものはその
文字
もじ
をもちひ
諸
もろ〳〵
の
民
たみ
におく
911㌻
10
かれアハシユエロス
王
わう
の
名
な
をもてこれをかき
王
わう
の
指
ゆび
環
わ
をもてこれに
印
いん
し
驛卒
はゆまづかひ
をして
御
み
廐
むまや
にてそだてたる
逸
はや
足
あし
の
御
ご
用
よう
馬
むま
にのりてその
書
ふみ
をおくりつたへしむ
11
その
中
うち
に
云
い
ふ
王
わう
すべての
邑
まち
にあるユダヤ
人
びと
に
許
ゆる
す
彼
かれ
らあひ
集
あつ
まり
立
たち
ておのれの
生命
いのち
を
保護
ほご
しおのれを
襲
おそ
ふ
諸國
しよこく
諸州
しよしう
の
一切
すべて
の
兵
へい
民
みん
をその
妻
つま
子
こ
もろともにほろぼし
殺
ころ
し
絕
たや
し
且
かつ
その
所󠄃有物
もちもの
を
奪
うば
ふべし
12
アハシユエロス
王
わう
の
諸州
しよしう
において十二
月
ぐわつ
すなはちアダルの
月
つき
の十三
日
にち
一
日
にち
の
內
うち
かくのごとくするを
許
ゆる
さる
13
この
詔旨
みことのり
を
諸州
しよしう
につたへんがためまたユダヤ
人
びと
をしてかの
日
ひ
のために
準備
そなへ
してその
敵
てき
に
仇
あだ
をかへさしめんがためにその
書
かけ
る
物
もの
の
寫本
うつし
を
一切
すべて
の
民
たみ
に
開
ひら
きて
示
しめ
せり
〘704㌻〙
14
驛卒
はゆまづかひ
逸
はや
足
あし
の
御
ご
用
よう
馬
むま
にのり
王
わう
の
命
めい
によりて
急󠄃
いそ
がせられせきたてられて
出
いで
ゆけりこの
詔書
みことのり
はシユシヤンの
城
しろ
において
出
いだ
されたり
15
かくてモルデカイは
藍
あゐ
と
白
しろ
の
朝󠄃服󠄃
てうふく
を
着
き
大
おほい
なる
金
きん
の
冠
かんむり
を
戴
いただ
き
紫色
むらさき
の
細布
ほそぬの
の
外衣
うはぎ
をまとひて
王
わう
の
前󠄃
まへ
よりいできたれり シユシヤンの
邑
まち
中
ぢう
聲
こゑ
をあげて
喜
よろこ
びぬ
16
ユダヤ
人
びと
には
光輝
ひかり
あり
喜悅
よろこび
あり
快樂
たのしみ
あり
尊󠄅榮
ほまれ
ありき
17
いづれの
州
しう
にても
何
いづれ
の
邑
まち
にても
凡
すべ
て
王
わう
の
命令
おふせ
と
詔書
みことのり
のいたるところにてはユダヤ
人
びと
よろこぴ
樂
たの
しみ
酒宴
しゆえん
をひらきて
此
この
日
ひ
を
吉
よき
日
ひ
となせりしかして
國
くに
の
民
たみ
おほくユダヤ
人
びと
となれり
是
こ
はユダヤ
人
びと
を
畏
おそ
るる
心
こゝろ
おこりたればなり
第9章
1
十二
月
ぐわつ
すなはちアダルの
月
つき
の十三
日
にち
王
わう
の
命令
おふせ
と
詔書
みことのり
のおこなはるべき
時
とき
いよいよ
近󠄃
ちか
づける
時
とき
すなはちユダヤ
人
びと
の
敵
てき
ユダヤ
人
びと
を
打
うち
伏
ふせ
んとまちかまへたりしに
却
かへつ
てユダヤ
人
びと
おのれを
惡
にく
む
者
もの
を
打
うち
ふする
事
こと
となりける
其
その
日
ひ
に
912㌻
2
ユダヤ
人
びと
アハシユエロス
王
わう
の
各
かく
州
しう
にある
己
おのれ
の
邑々
まち〳〵
に
相
あひ
あつまりおのれを
害󠄅
がい
せんとする
者
もの
どもを
殺
ころ
さんとせり
誰
たれ
も
彼
かれ
らに
敵
あた
ることを
得
う
る
者
もの
なかりき
其
そ
は
一切
すべて
の
民
たみ
ユダヤ
人
びと
を
畏
おそ
れたればなり
3
諸州
しよしう
の
牧伯
つかさ
州牧
しうぼく
方伯
はうはく
など
凡
すべ
て
王
わう
の
事
こと
を
辨
とり
理
おこな
ふ
者
もの
は
皆
みな
ユダヤ
人
びと
をたすけたり
是
これ
モルデカイを
畏
おそ
るるによりてたり
4
モルデカイは
王
わう
の
家
いへ
にて
大
おほい
なる
者
もの
となりその
名
な
各
かく
州
しう
にきこえわたれり
斯
かく
その
人
ひと
モルデカイはますます
大
おほい
になりゆきぬ
5
ユダヤ
人
びと
すなはち
刀刃󠄃
やいば
をもてその
一切
すべて
の
敵
てき
を
擊
うち
て
殺
ころ
し
滅
ほろ
ぼしおのれを
惡
にく
む
者
もの
を
意󠄃
こころ
のままに
爲
な
したり
6
ユダヤ
人
びと
またシユシヤンの
城
しろ
においても五
百
ひやく
人
にん
を
殺
ころ
しほろぼせり
7
パルシヤンダタ、ダルポン、アスパタ
8
ポラタ、アダリヤ、アリダタ
9
パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ
10
これらの
者
もの
すなはちハンメダタの
子
こ
ユダヤ
人
びと
の
敵
てき
たるハマンの十
人
にん
の
子
こ
をも
彼
かれ
ら
殺
ころ
せりされどその
所󠄃有物
もちもの
には
手
て
をかけざりき
11
シユシヤンの
城
しろ
の
內
うち
にて
殺
ころ
されし
者
もの
の
數
かず
をその
日
ひ
王
わう
にまうしあげければ
12
王
わう
きさきエステルにいひけるはユダヤ
人
びと
シユシヤンの
城
しろ
の
內
うち
にて五
百
ひやく
人
にん
を
殺
ころ
しまたハマンの十
人
にん
の
子
こ
をころせり
王
わう
のその
餘
ほか
の
諸州
しよしう
においては
幾何
いくばく
なりしぞや
汝
なんぢ
また
何
なに
か
求
もと
むるところあるやかならず
許
ゆる
さるべし
尙
なほ
何
なに
かねがふところあるや
必
かな
らず
成就
なしとげ
らるべし
13
エステルいひけるは
王
わう
もし
之
これ
を
善
よし
としたまはば
願
ねがは
くはシユシヤンにあるユダヤ
人
びと
に
允
ゆる
して
明日
あす
も
今日
けふ
の
詔旨
みことのり
のごとくなさしめ
且
かつ
ハマンの十
人
にん
の
子
こ
を
木
き
に
懸
かけ
しめたまへ
〘705㌻〙
14
王
わう
かく
爲
な
せと
命
めい
じシユシヤンにおいて
詔旨
みことのり
を
出
いだ
せりマンの十
人
にん
の
子
こ
は
木
き
に
懸
かけ
らる
15
アダルの
月
つき
の十四
日
か
にシユシヤンのユダヤ
人
びと
また
集
あつ
まりシユシヤンの
內
うち
にて三
百
びやく
人
にん
をころせり
然
しか
れどもその
所󠄃有物
もちもの
には
手
て
をかけざりき
16
王
わう
の
諸州
しよしう
にあるその
餘
ほか
のユダヤ
人
びと
もまた
相
あひ
あつまり
立
たち
ておのれの
生命
いのち
を
保護
ほご
しその
敵
てき
に
勝󠄃
かち
て
安
やす
んじおのれを
惡
にく
む
者
もの
七
萬
まん
五
千
せん
人
にん
をころせり
然
しか
れどもその
所󠄃有
もちもの
には
手
て
をかけざりき
913㌻
17
アダルの
月
つき
の十三
日
にち
にこの
事
こと
をおこなひ十四
日
か
にやすみてその
日
ひ
に
酒宴
しゆえん
をなして
喜
よろ
こべり
18
されどシユシヤンにをるユダヤ
人
びと
はその十三
日
にち
と十四
日
か
とにあひ
集
あつ
まり十五
日
にち
にやすみてその
日
ひ
に
酒宴
しゆえん
をなして
喜
よろ
こべり
19
これによりて
村々
むら〳〵
のユダヤ
人
びと
すなはち
石垣
いしがき
なき
邑々
まち〳〵
にすめる
者
もの
はアダルの
月
つき
の十四
日
か
をもて
喜樂
よろこび
の
日
ひ
酒宴
しゆえん
の
日
ひ
吉日
よきひ
となして
互
たがひ
に
物
もの
をやりとりす
20
モルデカイこれらの
事
こと
を
書
かき
しるしてアハシユエロス
王
わう
の
諸州
しよしう
にをるユダヤ
人
びと
に
遠󠄄
とほ
きにも
近󠄃
ちか
きにも
書
ふみ
をおくり
21
アダルの
月
つき
の十四
日
か
と十五
日
にち
を
年々
とし〴〵
にいはふことを
命
めい
じ
22
この
兩
ふたつ
の
日
ひ
にユダヤ
人
びと
その
敵
てき
に
勝󠄃
かち
て
休
やす
みこの
月
つき
は
彼
かれ
のために
憂愁
うれへ
より
喜樂
よろこび
にかはり
悲哀
かなしみ
より
吉日
よきひ
にかはりたれば
是
これ
らの
日
ひ
に
酒宴
しゆえん
をなして
喜
よろこ
びたがひに
物
もの
をやりとりし
貧󠄃
まづ
しき
者
もの
に
施與
ほどこし
をなすべしと
諭
さと
しぬ
23
ここをもてユダヤ
人
びと
はその
已
すで
にはじめたるごとくモルデカイがかれらに
書
かき
おくりしごとく
行
おこ
なひつづけたり
24
アガグ
人
びと
ハンメダタの
子
こ
ハマンすなはちすべてのユダヤ
人
びと
の
敵
てき
たる
者
もの
ユダヤ
人
びと
を
滅
ほろ
ぼさんと
謀
はか
りプルすなはち
籤
くじ
を
投
なげ
てこれを
滅
ほろ
ぼし
絕
たや
さんとしたりしが
25
その
事
こと
王
わう
の
前󠄃
まへ
に
明
あきら
かになりし
時
とき
王
わう
書
ふみ
をおくりて
命
めい
じハマンがユダヤ
人
びと
を
害󠄅
がい
せんとはかりしその
惡
あし
き
謀計
はかりごと
をしてハマンのかうべに
歸
かへ
らしめ
彼
かれ
とその
子等
こら
を
木
き
に
懸
かけ
しめたり
26
このゆゑに
此
この
兩
ふたつ
の
日
ひ
をそのプルの
名
な
にしたがひてプリムとなづけたり
斯
かゝ
りしかばこの
書
ふみ
のすべての
詞
ことば
によりこの
事
こと
につきて
見
み
たるところ
己
おのれ
の
遇󠄃
あひ
たるところに
依
より
て
27
ユダヤ
人
びと
あひ
定
さだ
め
年々
とし〴〵
その
書
かけ
るところにしたがひその
定
さだ
めたる
時
とき
にしたがひてこの
兩
ふたつ
の
日
ひ
をまもり
己
おのれ
とおのれの
子孫
しそん
および
凡
すべ
て
已
すで
につらなる
者
もの
これを
行
おこな
ひつづけて
廢
はい
すること
無
な
く
914㌻
28
この
兩
ふたつ
の
日
ひ
をもて
代々
よゝ
家々
いへ〳〵
州々
くに〴〵
邑々
まち〳〵
において
必
かなら
ず
記念
おぼえ
てまもるべき
者
もの
となしこれらのプリムの
日
ひ
をしてユダヤ
人
びと
の
中
うち
に
廢
はい
せらるること
無
なか
らしめまたこの
記念
きねん
をしてその
子孫
しそん
の
中
なか
に
絕
たゆ
ること
無
なか
らしむ
〘706㌻〙
29
かくてアビハイルの
女
むすめ
なる
后
きさき
エステルとユダヤ
人
びと
モルデカイおほいなる
力
ちから
をもて
此
この
プリムの
第
だい
二の
書
ふみ
を
書
かき
おくりてこれを
堅
かた
うす
30
すなはちモルデカイ、アハシユエロスの
國
くに
の
百
ひやく
二十七
州
しう
にある
一切
すべて
のユダヤ
人
びとと
に
平󠄃和
へいわ
と
眞實
しんじつ
の
言語
ことば
をもて
書
ふみ
をおくり
31
斷食󠄃
だんじき
と
悲哀
かなしみ
のことにつきてプリムのこれらの
日
ひ
を
堅
かた
うしてその
定
さだ
めたる
時
とき
を
守
まも
らしむすなはちユダヤ
人
びと
モルデカイと
后
きさき
エステルが
曾
かつ
てかれらに
命
めい
じたるごとくまたユダヤ
人
びと
等
ら
が
曾
かつ
てみづから
己
おのれ
のためおよびおのれの
子孫
しそん
のために
定
さだ
めたるがごとし
32
エステルの
語
ことば
プリムにかかはる
是等
これら
の
事
こと
をかたうせり
是
これ
は
書
ふみ
にしるされたり
第10章
1
アハシユエロス
王
わう
國土
くに
および
海
うみ
の
島々
しま〴〵
に
貢
みつぎ
をたてまつらしむ
2
アハシユエロス
王
わう
が
權勢
いきほひ
と
能力
ちから
をもて
爲
なし
たる
一切
すべて
の
事業
わざ
および
彼
かれ
がモルデカイを
高
たか
くして
大
おほい
いなる
者
もの
とならしめたる
事
こと
の
委
くわし
き
話
はなし
はメデアとペルシヤの
列王
れつわう
の
日誌
につし
の
書
ふみ
に
記
しる
さるるにあらずや
3
ユダヤ
人
びと
モルデカイはアハシユエロス
王
わう
に
次
つ
ぐ
者
もの
となりユダヤ
人
びと
の
中
なか
にありて
大
おほい
なる
者
もの
にしてその
衆多
おほく
の
兄弟
きやうだい
によろこばれたり
彼
かれ
はその
民
たみ
の
福祉
さいはひ
をもとめその
一切
すべて
の
宗族
やから
に
平󠄃和
へいわ
の
言
ことば
をのべたりき
〘707㌻〙
915㌻